星のステッキを胸に

2017年1月、有ちゃんが自ら還ってしまってから、最初の5月5日『こどもの日』のことでした。

四十九日以降、忽然と消えてしまい、探していたあるモノが見つかったのです。



事後直後、有ちゃんの部屋のテーブルの上には(なにか意味深に)円を描いて並べられた5体のシルバニアファミリーの人形が置いてありました。


その人形たちが取り囲む真ん中には、まるでおまじないのように、魔法使いの妖精たちが持っている『星のステッキ(爪楊枝より短いサイズ)』が置かれていたのですが、四十九日をさかいに消えてしまったのです。


部屋中探しても見つからなかったので諦め、亡くなってから5ヶ月後の『こどもの日』、放置していた部屋に掃除機をかける大掃除をする決心をしたのですが、その最中に見つけました。


よ〜く見ると、シルバニアの羊(山羊?)母さんのエプロンの胸部分に納められていたのです。


誰かが故意にやらない限り、そういう仕舞い方にはならないはず。

四十九日前後に自宅に出入りしていたのは、故郷から訪れていた実父、実母、そして家族3人(主人、私、長女)だけでした。

なのに誰もそんな小さな星のステッキなど弄った憶えはないと言います。


不思議なことがあるものだなぁとその時は思っていましたが、5年経った今になって思うことがありました。




当時、既に認知症を発症していた実母が、無意識にこの小さな星のステッキを手に取り、人形のエプロンに押し込んだのではないのか?………と。


というのも、実父と実母は、有ちゃんの四十九日法要のために(3月)、さいたま宅に泊まりがけで一週間滞在していて、その間私はこんな夢をみたのです。


有ちゃんがおばあちゃんである母の後ろを追って、家の中を徘徊する様子を見守っているという夢です。

あまりにもリアルな夢だったので、ハッと目を覚ますと、なんと! 実母は私の寝室へ真夜中に徘徊侵入してきたところでした。



四十九日少し前のできごと。


有ちゃんはこの世での器を残像にして、まだ居たのでしょうか。

夜に家中を徘徊するおばあちゃんを心配して、一緒に歩いていたんだなと、しみじみ思ったものです。


星のステッキは、このままだと、いつかうっかり私が掃除機で吸い取ってしまうと心配し、シルバニアの羊母さんのエプロンに差し込むよう、おばあちゃん(母)の体を借りてやってのけたのですね!


なんて………

………こんなご都合妄想で、話の辻褄を合わせようとしていますが、現実的に考えたとしても、弄った憶えはないことを証言できなかったのは、実母だけでしたので(^_^;)。



羊母さんのエプロン胸部分に差し込んであった星のステッキは、今もそのまま有ちゃんのお仏壇コーナーに他の人形たちと供えてあります。


2017年5月5日『子どもの日』に見つかったことで有ちゃんを感じ取り、塞ぎ気味だった気分が少しだけ高揚した私は、頑張って彼女の部屋を掃除し始めました。


そのときに整理した幼い頃の絵画作品たちは、見るのも触るのも大変辛かったけれど、とてもカラフルでかわいらしく愉快な作品が多くて、いつの日にかじっくりと想いを馳せながら眺めてあげられたらなぁと、大事に保管してきました。



ティアラのついたぶたのぬいぐるみ


小学校低学年当時の絵。

テーマは、私の宝物。



 そうだ、あの頃だね。

 買ってあげたぬいぐるみだった。

 さいたま新都心にある雑貨ショップだったっけ。



悲しい……懐かしい思い出。

でも6年目の今は、見るのを避けてしまうほどの苦しさは前ほどではなく、胸は締め付けられるけれど、ちゃんと抱きしめて愛でてあげられるようになったようです。


ティアラのついたぶたのぬいぐるみは買った直後から、姫子豚(ひめこぶぅ)ポピーと名付けられました。


還ってしまうその日まで大切にしていたポピー。

長女が言うには、あの日の前日の夜も、必死にポピーにコロコロをかけて、


ほら、これで捨てられることはないぞ


などと、ぶつぶつ言っていたらしいでのす。



 そんなに大切にしていたんだなぁ……


けれどぬいぐるみにも寿命はありますよね。

さすがに10年過ぎるとパッサパサになって、ポロポロと粉みたいになったというお話をご遺族の方から聞いたことがあるのです。


 そうなる前に、お話を作れたらいいな。

 有ちゃんの残したこの絵をモチーフにして。


私の妄想ではあっても、その物語の中では永遠にずっと一緒に愛でて、遊んであげたい。

そんな思いが静かに、心の奥から芽を覗かせている2022年の5月です。

星のしずく*管理人



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