友の自死

『自死』という言葉がたぶんまだ無かった時代の話です。


かれこれ何十年も前、当時私が15歳(高校一年生)の冬休み中だったか、冬休み明けだったのか………。

小・中学校を共に過ごし同高校へ進学、部活動(硬式テニス)を一緒にやってきた近所に住む友人の一人を、自死で喪いました。



あの日は、たまたま同校に通う近所の友達数人も風邪で高熱を出し、学校を休んでいた日でした。

今みたいにケータイも無かったので、家の電話に友人経由で連絡網が入り、友の訃報を知ることになりました。



「◯◯が死んだ、自殺したらしい」


高熱で布団に横たわっていた私でしたが、「なんで? どうして自殺?」と、ひたすら考え込んでしまいました。

『死んだ』『自殺した』ということがピンとこないためなのか、意外に冷静だったと記憶しています。


その子は早い時期から部活を退部し、『帰宅部』と称される学校でのマイノリティに属することになりましたが、なぜ部活を辞めたのかも『なんとなくやる気がなくなった』というのが妥当で、これといった理由は無かったように私には見えました。


彼女が部活を辞めても、私とは自宅が近くだったので、当時彼女が大好きだったオフコースのアルバム(当時のレコード)のカセットテープ録音(ダビング)をよく頼まれていました。

うちの実家は街の電気屋さんだったので、そういう機材が子供の頃から自宅に揃っていたんですね。

なのでよく頼まれていましたが、テニス部でへとへとになって帰ってくる私は、宿題も早々に眠くて眠くて、彼女のリクエスト通りの曲順で録音できておらず、音量も曲ごとに違って録音していたらしく、編集ミスをよく指摘されていましたっけ。



でもまさか………、


そのことが理由で死んじゃった?


私に思い当たることといえば、そんなミスでしたが、それが自殺理由なのだろうかと思い詰めてしまい、実はいまだに当時の友人たちにも話せていません………!

(Web上では匿名、しかも何十年も前のことだからブログで吐き出せているのでしょうか(^_^;))



後から、その亡くなった子と同じクラスの友人伝いに聞いた話ですと、『もともと希死念慮があったこと』『一度自殺未遂を起こしていたこと』を、彼女の担任から同クラス長を含む数人の生徒には知らされていて、注意して見守っていた矢先のことだったらしいのです。



なぜ、私には教えてくれなかったのか。


クラスが違うから?


けれど、親友とまではいかなくとも、レコードアルバムのダビングを頼まれる仲であり、もし知らされていれば、それこそ眠くても頑張って彼女のリクエストを完璧にこなしたカセットテープを、お手製の表紙画像付きで用意したのに!と、悔しさで鼻息が荒くなりました。


や、本来なら、未遂があったことを知らされていなくとも、友だち思いの人間ならば、疲れていようがやってあげていたはずだと、ここでも自身を責めてしまっていました。


そして何十年も経ってから、我が子の自死で、更に追い討ちをかけられたように『鈍感で思いやりに欠けた人間』という自責の念が突き付けられたようにも感じます。


だからオマエは娘をも喪ったのだ


と。



今でも時々、高校一年で喪った友人の顔と、中学二年で喪った亡き子の顔を、脳内でよく並べて思い浮かべます。


それと同時に、亡き子の友人たちのことも思い出します。

逝った人間の友人ですから、正確には自死遺族には含まれませんが、築地本願寺いのちの集いでのわかちあいの会には、そういった友人の立場でのわかちあい参加も許されているようですね。

何人か同じグループになり、わかちあいをしたことがありますけど、友人の自死で苦しみと悲しみから解放されずに辛い気持ちで過ごしている方々がいるんですよね。

私も高校生当時の事からすると、その一人だったのでしょうね。


その昔には、自死遺族や自死した人の知人が集まったり、気持ちをさらけ出したり、わかちあえる場所(webも含む)が、今ほど無かったと思われますが、在れば私のこれまで胸の奥に隠していた想いも、もう少し早くオープンにできたでしょう。



友の自死が引き金になっての後追い(韓国アイドルタレントにもありましたよね)、友の自死から悲嘆やトラウマに悩ませられながら生きている人たち、想像するより多いと思います。


現に、弔問に来てくださった特に親しい友人たちの中にも、どうしようもない自責で苦しまれている子たちもいました。

なので私は、学校の机の上に遺した『いしょ』を読んでもらい、更にはコピーして持たせた子もいます。


御守り代わり?


誰も悪くない

そう明記されている遺書ですから。



亡き子の人生を楽しい思い出で彩り豊かにしてくれた友人たちが、自責の念で気を病むこと無く、人生をエンジョイしてくれていたら、(勝手ながら)こちらの気持ちも少し楽になります。

📹お通夜当日、館内全階で流していただいた、亡き子が好きだったアニメ『ユーリ!!! On Ice』の一曲です。

辛いことを思い出して聴けなくなった曲もありますが、唯一今でも聴ける優しいピアノのメロディが魅力的です☺


📷事後二年半後に家に現れた野良猫ニャンズ盆ちゃん鉢くんも、この曲を流すとうっとりと夢見心地に?(^^)(ちょっとカッコつけてモノクロCDジャケ風に撮ってみました)

(画像加工/きんとぎん)

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