夜長の晩餐話
――変だな、ついさっき掃除機をかけたばかりの床の上に?
『戦争と平和新聞』と題され、ラミネート加工したA3サイズの一枚綴りの紙が、亡き娘の部屋を掃除したあと隅っこに落ちているのを見つけたのです。
壁に飾っていたのが剥がれたわけでもなく、ポツンと落ちていたそれは、有ちゃん手書きの挿絵付テーマ新聞作品でした。
片付け忘れにしても大きいサイズの紙。
――今、読んで欲しかったのだろうか(………とかね)
【戦争と経済】
戦争をすることによって、国が豊かになることもある。勝つことによって、領土がふえるのである。昔の日本も、これを利用してどんどん豊かになっていた。が、世界恐慌もあり、不景気になったことがきっかけで、景気をよくしようと戦争をしたが、次第に不利になり、国力を失った日本はますます貧しくなった。
このように、戦争と経済には深い結びつきがあり、これを利用しようという国もあるのだ。
【核のない世界へ】
1968年、核をなくそうという声かけが世界に広まった。これをきに、オバマ大統領も「核のない世界を目指す」とのことだった。が、実際、核をすてた国もあったものの、まだ一部がすてきれていないという国もあった。
核のない世界にはまだとどかない。
【平和の『とりで』】
筆者は、「戦争は人の心の中で生まれるもの――、なので、心の中に平和のとりでをきずかなければならない」と言っている。
私は一人一人がそれをきずけたなら、本当の意味での平和がおとずれると思う。
でも、一人でも欠けてしまえば、平和はおとずれないと思った。
【戦争と人々の結びつき】
私は、はっきり言って戦争のない、平和な世界はこないと思う。なぜならば、どこの国でも大昔から、かならず「戦争」というものがあった。現代ではそれが世界中でつながっている、というだけなのだ。
私たち人間は、どんどん進化をなしとげている。が、きっと先祖代々、「戦争をする」という強い意志が、体にたたきこまれているから、いつの時代になっても、戦争がやめられないんだと思う。
今私達ができることは、「戦争をしない」という意志をもつことしかできない。
でも、そんな小さなことでも大切だと思う。
<<発行者 6―3 前川有希>>
……… ………
当時、小学六年生の学童だった彼女が、「戦争のない平和な世界はこないと思う」と言い切った新聞を読み返してみて、たくさん話をしたくなりました。
秋の夜長。
亡き娘を招いて晩餐話ですね。
ご馳走代わりの夜食にニャンズを吸いながら。
「有ちゃんの言う通り、戦争ってやつはなくならないねぇ………」
夢の中で、答えてくれるでしょうか。
黙って相槌をうってくれてるのかな。
それとも………
なにか、ハッとするような意見を述べてくれるのを期待して、答えてくれる声の無い“答え”が長く感じる秋の夜です。
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