誰も悪くない
過去ログ『さよならの理由』他でも述べてきましたが、亡き娘は中学校敷地内(授業時間内)での自死であったため、学校職員の方々や生徒たちの他、学区内・地域住民の方々にも早々に知れ渡ってしまい、事を隠すという選択肢がそもそも無いケースでした。
そういう背景もあり、喪中はがきもそれまでやりとりしていた方々にはほぼ全員に出し、『亡くなった』事実だけは伝えてきました。
が、事の詳細部分については、故郷の旧友たちには伝えないで過ごしてきたのです。
故意に会おうとしなければ会わなくて済む『距離』にも、ひょっとしたら助けられていたのかもしれません。
悲嘆に向き合うだけで精一杯で数年過ごし、今はなんとか表面上では穏やかに生活できるようになったものの、娘が生きていた頃の自分とはもう違うのでしょう。
この『違うのでしょう』を、身をもって確信した出来事がありました。
旧友の一人からLINEが久々にあったのです。
たまたまこの旧友に出した喪中はがきだけは宛先不明で戻ってきていたとはいえ、共通して交流のあった別の旧友たちには届いていますので、亡くなったことだけはどこからか耳にしていたとは思います。
コロナ禍での近況報告と、そのうちまた会おうね、というような当たり障りのない内容のLINEであり、これまで通り、こちらも差し障りない返信で止めておこうかなと思いましたが。
ふと、なぜなのか…今日は言わなくてはならない、という気持に突然なり、自死であることをLINE画面上の文字で告げました。
『そのうちまた飲みたいね』という一文が、妙に心に刺さったのです。
たぶんですが、薄々何かあったのだな、ぐらいは察していたと思われます。
いつか、こちらから話してくれるのを(特別急かすわけでもなく)様子をうかがいながら、年に数回LINEを送ってくれていたようにも感じました。
そんな雰囲気を感じつつも、私が文面で明かした内容には、引いてしまったのかもしれません。
旧友には、かえって悪いことをしたなと正直思いました。
『誰も悪くないです』
娘の遺書の一文にもありましたけれど、誰も悪くないのに? 事後、自分の言動の何もかもに、自責が伴います。
だからといい、事後当初の悲嘆の嵐の中で苦しんでいる状態とは明らかに違います。
なんでしょう……。
この説明し難い、自分の心情。
告げる相手との気持ちの噛み合わなさ。
とても親身に(LINE越しではありますが)聴いてくれているのに。
ご遺族の方で、こうした後日知らせる場をもった方であれば、少しでもこの空気感が伝わるでしょうか。
リアルタイムでのLINE送信では、とてもじゃないけれど伝えきれない事後四年と数ヵ月。
半日、いや一日だけでは説明不可能なこと。
深い(不快)重い(想い)年月を重ねてきています。
単に『自死』という亡くなり方だけが、旧友の中で一人歩きされてしまうのもこちらの心外ですし、心配にもなります。
でも、今回のカミングアウトは、先日の(娘の親友さんからの)スマホ動画受信のように、今だから!今こそ伝えるチャンスなのだ!と、私には感じた『時』でしたので、堰を切ったように、少々ツギハギ文章でしたが、告げることを止めませんでした。
妙に淡々としているのに、纏まりの悪い言葉。
遺族会や、その交流の中で、同じ悲しみを体験した方々へ初めて話したときよりも相手が遠く感じました。
(確かに距離のある故郷に住んでいる友人なのですが)
隠す選択肢の無かった辛さとは違うので比べられないにしても、時間がある程度経過してから、告げられた相手も辛くなるもしくは言葉を失くすような話を敢えてするというのは、物凄いエネルギーを消耗するのだなと、『重い尻』を上げてみて『思い知り』ました。
(ダジャレもなんだかキマりが悪いようでm(_ _)m)
妙に冷静なテンションでの疲れ、それでも一日経って思い返すと、なにかまた一つ開放されたような気持にもなりました。
――どうですか? こんな私でも、これまで通りつきあえるかな? これまで通りにつきあってほしいのかな私は?
答えは悪い意味ではなく【NO】です。
もしも今後旧友たちと交流があるとしても、これまでと同じようにはいかないのが、もはや自然です。
知らないふりして接するのも、されるのも、それはそれでお互いの気遣い、優しさの一つなのかもしれません。
考え方はそれぞれあって良いと思います。
けれど私の場合には、これからの人生でそういう気遣いは必要ないなという思いが、心の隅っこで燻りはじめていたんだと思います。
敢えて、やっとこさ、小学校時代からの旧友に告げました。
今年も夏が来ます。
(コロナ禍(夏)ですけどね)
お盆帰省中にどこかでばったり会っても、今の私のままで挨拶できるかな、できたらいいな。
📷写真は故郷八戸市の夏祭り『三社大祭』に参加した時のものです。
三歳のゆうちゃんのブイ☆(*^^)v
◆自死遺族の集い
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