天外者が煤払い

年の瀬になると、故郷の主人側の実家から、まるで日本昔話の『笠地蔵』の如く、毎年たくさんの地元名産品が届けられます。

とても有り難いモノであり、親子四人暮らしの時には本当に助かりました。

(エンゲル係数的にも(^_^;)。)


義母は料理も上手ですし、家事もしっかりこなし、頭がキレるのに腰が低いタイプ、嫁の私にもとても良くしてくれる(同居したことがないので言えることかも?ですが😅)、味方につけると実に心強い人だと思います。

何より元気で健康でいてくれるというのは、離れて暮らしている上でとても有り難いです。

故郷の霊園に納骨した亡き娘のお墓にも、月命日には必ず生花とお菓子を供えてくれていて、本当に… 感謝の気持ちでいっぱいなのです。



しかしです。


先日『笠地蔵』へお礼の電話で、とある言葉に疑問を抱きました。


今年7月に急死した三浦春馬さんの話題が出たのですけど、『素敵なルックスと才能にも運にも恵まれ、皆に好かれる性格。その上ご自身が選んだ道で活躍している人でも、自ら命を絶ってしまうこともあるんだね』というような会話からでした。


その後、さらっと続いて出た言葉が、

そういや、でも、どこか弱い感じもする人だったよね』と。



………


弱い………?



いや、そりゃあ、いかにも!なマッチョタイプではなかったけれど、弱い感じって? 繊細な? 儚げな? という意味なのかどうなのか………。


自死したという先入観で『弱い』という言葉が出てきたとすれば、偏見なのかな、と正直思いました。


春馬さんの話題が発端にしろ、話している相手(私)は、子供を自死で喪っています。

嫁の私が産んだ子、義母にとって孫です。

事後からそろそろ四年経とうとしているとはいえ、その私との会話で、こういうことを何の気なしに言い放つんですね。


その後、私は特に反論もせず近況を語り合い、お礼を伝えて電話を切りましたが、その直後から悶々と考えてしまっています。



弱い人が自死をする。

自死した人は弱い。



偏見の一つなのかなと。


自死の背景は一人一人違う。

中には、殺人を犯したあと事に至るような、身勝手極まりない例もあるでしょう。

陰湿な(もしくは暴力的な)耐え難いイジメが背景にある場合だってあります。

または責任感が強く、まじめであるために、苦悩をすべて一人で抱え込んでしまい、自死に追い込まれてしまうこともあります。

心療内科に通院中、もしくは入院中亡くなることも。


一つのことが原因となる場合もあれば、さまざまな要因が重なりあった場合もあり、一概には言えないことを、義母の中ではそういう単純図式(?)になっているのだろうか… と。



亡き娘の遺書には『私は弱いから、強い人にへこへこと頭を下げている(未来の)姿しか想像できませんでした』と書いてありました。


思うに亡き娘は、日々のなんらかの出来事から自己肯定感を持てなくなってしまった状態に陥ったにせよ、自身の悩みに正面から向き合っていたことは確かです。

それが弱い人になるんでしょうか?

というより、弱い強いなんて言葉で、自死うんぬんを語らないでください、と。


自死を肯定する気は無いのです。

けれど亡き娘を『弱い人間だった』とは思いません。

生きて居れば娘にもそう言いますし、亡くなって居る今では『弱くなんかないよ、真正面から向き合って真剣に悩み、思い詰め、どうにもならなくなったんだね』って、心で語りかけています。

『お前なりに一人で頑張ったんだね』って。


(もちろん悔しいが故の怒りと自責で苦しみもしましたが、私なりに長い期間考えて考えて、今ではそんなふうに亡き子に語って偲べるようになりました)。


でも、それをすぐさま義母に言い返さなかったのも、もうすぐ四年経つ『今』だから。

自身が産み育ててきた子供を亡くした経験のない人に言っても、当然わからないよな… と。

長くて、くどい、面倒な話になってしまいますし、電話ではとてもできないな、と。


(けれどもし今度こういう話題になったら、みっちりねっちり話してみようかなと思っています。話してみるだけでもね。)



年の瀬に、詰まった煤の話題をとりあげましたが……、煤払いついでだ!と、12月11日から劇場公開中の映画『天外者(てんがらもん)』を鑑賞してきました。


『天外者』主演 三浦春馬、三浦翔平、西川貴教他


あ~~(;゚Д゚)…そういえば…鹿児島旅行の際、鹿児島駅前に自分的にピンとこない人の(汗)銅像があったのを思い出しました。

あの人のことなんですね←おい。


五代友厚(ごだいともあつ)。

激動の幕末から明治初期、日本の未来のため、今日に続く商都大阪の基礎を作り上げながら、長らく歴史に埋もれていた人物。

難しい役どころを、画面越しに観ているこちらの心も体も震えてくるほどの迫力と重厚な演技で体現した役者(春馬)さん。

誰もが夢を見られるような世の中にしたい」と、大いなる目標に向かったその志と熱い思いを、時代を超えてスクリーンから演じ放ったメッセンジャー的な大役、お見事でした☆


※天外者(てんがらもん)=すさまじい才能の持ち主

なんて意味らしいですが、鹿児島のリア仲間に聞いたところ、生まれてきた赤子たちには皆「てんがらもんやね~」と称えるような言い方をするようですね。

つまり私も亡き娘も(義母も)、ブログに目を通してくださってる皆様も、生まれ出てきた、てんがらもんやね~~!というわけ。


最後にスクリーン上に浮き出たテロップ、

地位か名誉か金か、いや、大切なのは目的だ

この言葉が頭から離れません。


とりあえず2020年、最後の煤払い完(^-^)。

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