最後の晩餐
命日の一ヵ月前、12月12日に有ちゃんの七回忌法要を行いました。
一周忌と三回忌は自宅に和尚さんをお呼びしましたが、当時はまだ家族として迎え入れていなかった盆ちゃん😺と鉢くん😺が現在家に居ます。
彼らは生花が大好きで、飾った途端に引っこ抜いて遊び出し、花瓶ごと(籠ごと)ひっくり返して散らかす騒ぎになるので、今回は約6年前の葬儀と同じ会場内にある小さめのホールで執り行いました。
そのときのことです。
和尚さんが到着するまで、家族は控室に通され待機。
すると、葬儀からずっと担当している、私と同世代の女性スタッフが挨拶に入ってきました。
そういえば、今回は別の若い男性スタッフが担当していたので、この女性は退職か転勤、もしくはスケジュール的に無理だったのだろうなと、気にもとめていませんでしたが。
家族の控室ドアに立ち、挨拶したときに感じたもの。
こちらが瞬時に察するような重々しい空気が、その女性スタッフから流れてくるのです。
確かに、うちの背景(有ちゃんの自死)をよくご存知の方ですし、何度も葬儀や法要の打ち合わせをしてきた方とはいえ… まる6年経とうとしている遺族(他人)に接しても違和感なく… いや遺族以上に重々しい空気を漂わせながら挨拶出来るのは凄いものだな〜と。
この人はある意味プロ中のプロなのだなぁと。
私なりのリスペクトを込めて会釈してから、家族と今日の段取りを確認していると――――
またその女性スタッフが、先ほどよりも悲痛な面持ちで入室してきました。
「◎◎様の法要を見届けたかったのですが、他の打ち合わせもあり、ここで失礼いたします」
…………
ひしひしと伝わってくる重々しい空気はなんだろう。
どうにも、いてもたってもいられなくなり、私は立ち上がってドア付近にいる彼女のそばに行きました。
そして、
「いえいえ、お声をかけてくださり、ありがとうございます」
と、お礼を述べ切る前のことでした。
女性スタッフは私のほうに手をのばしながら、もう片方の手で、自身の崩れて今にも泣き出しそうな顔を慌てて抑えたのです。
……………
これは、大切な誰かを喪ったのだなと、私は察してしまいました。
すぐに悲しい予感もしました。
そういう体験をした者だから甦ってくる、あのときの震えが、一瞬触れた手から伝わってきたのです。
私は、黙って彼女を見つめているのが精一杯でした。
「実は…… 少し前に息子を亡くしまして……」
この震えと、この空気、彼女から流れてくるものは、やはり…、そうだったのですね。
交通事故だったそうです。
そしてなぜか、私に詫びるように声を震わせて話すのです。
職業柄様々なお歳で他界した方々の葬儀を担当してきたのでしょう。
それでも我が子を喪うことの苦しさが、これほどまでだとは想像もできなかった。
仕事とはいえ、ご遺族の気持ちにも寄り添えてはいなかった……というようなことも話されていたように思います。
とんでもない… と、正直思いました。
経験しないとわからない思いだとか、私にもたくさんありますから。
*
このような一幕もありましたが、その後の法要はこれまでの中で一番、有ちゃんのことは勿論、家族のこと、事後出会ってきたご遺族のこと、そこから繋がる彼方の大切な人たちを思い、あの日生まれた悲しみを抱擁してあげられたように思いました。
この先も、変化しながら続いていくのでしょうね。
あの女性スタッフの悲しみも、少しずつ、少しずつ…
法要前日、八戸から妹夫婦と、都内に住むその娘たち(姪っ子)、そしてうちの家族で、食いしん坊有ちゃんの思い出レストランを予約して集まりました。
(有ちゃんの親友さんたちも一緒したことがあったなぁ。。)
有ちゃんと豚のぬいぐるみポピーの座席、そして陰膳も。
写真もいくつか飾らせていただけました(^^)。
ありがとうございます。
この夜は有ちゃんが主役だったので、寂しさと悲しみは健在であっても、感謝の気持ちであたたかい夕べにもなりました。
最後の晩餐。
そう、毎回が、常に最後の晩餐でした。
この先、またこの次も、この顔ぶれで集まれるのかは、わからない。
この日、さいたま新都心にあるスーパーアリーナが、なないろにライトアップされているのを、私は初めて見ました。
住み始めて16年あまり。
有ちゃんとはイルミネーション撮影会を毎年していたにもかかわらず、なないろのライトアップなんぞ見たことなかったのですけどね✨👀✨
彼方でも繋がりを持てたと感じる愛する人たちの計らいでしょうかと🌈
勝手に想像を巡らせて胸がいっぱいになったのでした。
とはいえ、すぐに目先の不安に引き戻されてしまいます。
本日10時入院_| ̄|○
コロナ禍で、病棟への行きも帰りも一人ぼっち。
お見舞い面会も禁止。(病人ぽくない)
でも意外に一人のほうが、腹が据わってくるのでしょうか。
(なんだかパニくりそうです(^_^;))
瞑想しよう……!
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